ナメクジの一件で入居者さんと話していると
上の階に住む一人暮らしのおじいさんが現れた。
「心臓が悪いから、階段の上り下りがきついねん」
「ハイ?」
「この部屋、空いているんだったら移りたいねんけど」
と、ただいまわざと空き室にしている部屋を指差しておっしゃいます。
「この前も案内してたけど、蜘蛛がいっぱいわいて、
お客さん、きゃ~言うて帰ってたで」
そりゃ~、入り手が見つかりそうに無いから
自分の無理を聞け!っちゅ~ことでしょうか。
内心ちょびっとむかつきながら、にっこり笑って
「いいですよ」
と言った。そして続けて
「再契約ということになりますので、M不動産に連絡していただけますか?」
「………」
わずかな敷金、手数料も惜しいのだ。
苦笑いの後、ご老体は静かにお帰りになった。
いくら親しくなっても賃貸借の契約を結んでいる以上、
なあなあでは済まないし、してはいけない事もあるよね。